悲劇に乾杯をしよう、という話。

ハレルヤ ラ ミゼラブル

Do you wanna show me how low and low?

 冒頭の一文でピンと来た方はたぶん同志でしょう。

hideのMISERYという曲の冒頭、悲劇に乾杯!みたいな意味ですかね。

 


hide - MISERY

 

私の人生において最も大きな影響があるであろう音楽、出会いはX JAPANとhideだったりします。

当時はアグレッシブな曲ばかり聴いてましたが、いま聴いてみると本当にいい曲ばかり。

どれも好きなんですけど、MISERYって特に好きなんです。

この曲の生い立ちに興味がある方はWikipediaを見ていただければと思います。ざっくり言うとファンとの交流の中から生まれた曲なんです。

悲劇を壮大な冒険活劇なように語るのではなく、悲劇を腕の中に抱きしめて解き放ち、枯れるまで踊りながらキスをして、ありのままに受け止めていくんです。悲劇も痛みも愛しみも憎しみも人生なんだよって。君なんだよって。

 

年を取っていくことって悲劇の積み重ねなんじゃないかなって思います。

楽しいこともいっぱいあったのに、気付いたら悲しいこと、つらいことばっかり心に残ってます。思い出すととてもつらいし、思い出したくもないことばかり。

そんな出来事も、いつか自分のありのままと受け止めて解き放てたらいいなあ、と思います。そしたらハレルヤ ラ ミゼラブル!!って笑い飛ばしてやろう。

 

以前もたぶん触れたことがありますが、バイクに乗ったりしているんです。

今は壊れている…というか所有期間の半分くらいは壊れている気がしますが…w

そんなポンコツ一歩手前みたいなバイクでも、私にとっては大事な相棒。

それこそ音楽と同じ、昔はとにかく速く乗りたい!!の一心でした。ツーリングに行ったり通勤で使ったり。でも乗っているときはどうしたら速く走れるかな、どうしたらもっと深くバンクできるかな、なんて考えてました。

バイクはクルマと全く違います。曲がるだけで体を大きく使いますし、直進しているだけでも体でしっかり支えないとすぐ倒れてしまう。乗り手のスキルが「乗り物として成立するか」に大きく関わってきます。

それってすごく難儀なもので、言い換えれば「うまい人ほど速く、安定して走れる」とも言えるんじゃないかな、と思います。だから昔は速い、安定している人が偉いしすごいと思ってました。速度を上げた先に見える世界に夢中だったんです。自分がバイクと一体になって他に何もないような世界に。

最近はちょっと違ってきた気がします。今まで見向きもしなかった速度域の世界は五感を刺激します。自然と自分がバイクという媒介を通して一体化していくような。とにかく柔らかな、優しい刺激にあふれた世界。

 

まるで音楽の好みの変遷に似ているなあ、と思います。いまはバイクに乗る楽しみって昔と全く違うんです。ありのままの世界を受け止めていく楽しみ。まるでMISERYじゃないですか!

そう思えるようになったって、少しは大人になれたってことなのかな。まだまだ子供だなあ、って思うことも多いけど、趣味を通してすこしずつ大人に近付いていけるような気がします。

と趣味の必要性をめちゃくちゃに結び付けておしまいにしましょう。